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欲望のTOWALY > 平川俊輔 > 九州の自動車産業 テストがヤバイ!編

※【長崎より愛を込めて 第二部 - 清算】は作者の都合により、休ませていただきます。
  ご了承ください。

九州についての第三回。
今回は発展著しい九州の自動車産業に関してです。
昨年13年ぶりに1048万台で米国を抜き自動車生産世界一に返り咲いた日本。
トヨタ自動車の躍進を背に、近年注目を浴びているのが名古屋地区ですが、
自動車産業に関しては『九州』も負けてはいません!

『北部九州 自動車生産100万台構想』というものをご存知でしょうか?
これは、福岡県知事である麻生氏によって提唱されたもので、
平成15年2月に構想が発表されました。
平成19年度までに北部九州における自動車生産を
100万台までに引き上げるというものです。

北部九州における自動車生産は三つの主要なプレイヤーによって行われています。

①日産自動車九州工場(福岡県苅田町・05年度約40万台生産)
・当工場は、日産の最大規模で最新鋭技術を結集した主力工場。
・10車種を生産。
・日産全体の乗用車生産に占める割合:約3割
・約6割を北米中心に輸出。

②トヨタ九州(福岡県宮若市・05年度40万台生産)
・トヨタグループの最新鋭工場。
・レクサスを中心に生産
・トヨタ全体の乗用車生産に占める割合:約1割
・約9割を北米中心に輸出。

③ダイハツ九州(大分県中津市・05年度約22万台生産)
・軽貨物車を生産。
・前橋工場より全面移管。

※加えて、広域産業集積の点で見ると、関門海峡をはさんで本州側に位置する山口県防府市にはマツダの工場があり、年間約50万台の自動車生産を行っています。

この100万台構想は昨年平成18年度に当初の計画の一年前倒しで達成され、
早速、『北部九州 自動車生産150万台新構想』が打ち出されました。
これは、前回の構想よりも更に広範囲に置ける目標を設定しています。
①150万台生産の達成
②部品の現地調達率70%の実現
③アジアの最先端拠点の実現
④次世代のクルマ開発拠点の実現
この四項目を平成21年度までに達成する予定として策定されました。

この発表直後、ダイハツ九州の第2工場の建設発表、トヨタ自動車九州の苅田エンジン工場の第2ライン増設計画発表、デンソーのディーゼルエンジン部品工場が竣工、ダイハツ九州の久留米市新エンジン工場建設決定、日産車体の100%出資新会社を設立ならびに苅田町最新鋭車両組み立て工場建設決定など、矢継ぎ早に発表されました。
これにより、150万台新構想も平成21年度を待たず、構想策定半年で実現が確実となりました。

150万台を超える自動車生産は世界的にも日本を含め9ヶ国しかありません。このような1ヶ国に匹敵するような大拠点を北部九州に作ろうとしているのです!!


ざっと、九州自動車業界の近年の動きを概説してみましたが、
一つの疑問が浮上します。
『なぜ九州に自動車産業なのか』という疑問です。

【メーカーの視点 ~ なぜ『九州』かなの?】
①アジアを見据えた生産拠点の確保
⇒現在、中国・インドを中心にアジア各国において自動車の需要が急拡大しています。そのような需要拡大に対応するためにもアジアに近い地域に生産基地を持つことが重要となっています。また、そのようなアジア各国においてはカントリーリスクも無視できるものではなく、各国の需要の急変動にも対応するためにも、現地生産以外にも国内における生産拠点が必須です。このような条件を満たす地域として、日本で最もアジアに近い九州地域が工場立地先に選ばれています。

②海外への技術流出懸念と国内回帰の動き
⇒80~90年代、日本の様々な企業が発展途上国を中心に進出しました。それにより、短期的にはコスト削減を実現してものの、長期的には競争源泉である技術の流出という事態に直面するに至っています。これにより多くの日本企業が近年、設備投資を再び日本に振り向けるという動きが出ています。自動車産業においても、ハイテクの部分は日本で作るという動きになっており、トヨタ九州においては、トヨタの上位ラインナップであるレクサスシリーズが生産されており、世界全体の半数以上のレクサスに達しています。

③豊富な人材の確保
⇒九州には、特に北部九州には多くの理系を擁する大学が点在しており、優秀な理系人材の確保が比較的容易であるといえます。また、関東地区と比べても賃金を低く、コストの面でも非常に有望であるといえます。

④IT技術の確保
⇒自動車は走るコンピュータと言われるほどIT技術の固まりといわれています。半導体などのIT技術の調達に関しても、『シリコンアイランド』と称される九州は他の地域と比べて非常に優位な地位を築いています。また、旧来の九州の主要産業である鉄鋼も自動車の主要な素材であり、その鉄鋼の調達のし易さも進出の理由となっています。

⑤自治体の強いサポート
⇒100万台構想ならびに150万台構想など、九州各県の自治体のサポートも非常に厚いものとなっています。周辺技術開発における産学官連携の促進や、工場立地における優遇、金銭的な優遇、港湾機能の整備など、自動車産業誘致に熱心であり、自動車メーカー各社においても他の地域に比べて進出するメリットが高いといえます。


【九州自治体の視点 ~ なぜ『自動車産業』なのか?】
①安定雇用の確保先としての自動車産業
⇒大規模自動車工場による雇用創出効果はもとより、自動車産業とは非常に裾野産業が広い産業であるため、ゴム産業や素材産業などありとあらゆる周辺産業にも雇用創出効果が望まれます。

②産業集積という点
⇒前述のように、自動車産業は非常に裾野が広い産業です。加えて自動車は走るコンピュータと呼ばれるほど、ITの集合体であり、ハイテクの塊といえます。この自動車産業を誘致することで、ハイテク産業の集積に効果を起こそうとしているのです。福岡県は、この構想に平行して、先端半導体分野では、次世代の半導体であるシステムLSIの世界的な設計開発拠点となる「シリコンシーベルト福岡プロジェクト」を、素材産業においては、ナノ技術の集積を目指す「ナノ福岡21プロジェクト」を、次世代燃料においては水素利用社会を支える新しい知識・技能をもった技術者や経験者を養成する「福岡水素エネルギー人材育成センター」を産学官連携で開校、またバイオエネルギーを見越して久留米市を中心に、バイオ技術を核とした新産業の創出や関連企業・研究機関の一大集積計画である「福岡バイオバレープロジェクト」を推進するなど、自動車産業をテコに一層の産業集積を目指しています。

③地場産業の技術向上・競争力向上
⇒またまた前述のように、自動車産業とは非常に裾野が広い産業です。その為、地場産業に対する需要の喚起や、生産を通じた技術・競争力の向上の可能性があるのです。部品などの産業の基礎技術を厚くすることで、自動車産業以外の産業の集積にも応用することが可能で、非常に弾力性の高い産業集積の実現を目指しています。これは、中国における問題と同じといえます。しかし、現在の自動車産業の北部九州における部品の現地調達率はおおよそ50%。これは愛知県におけるそれと比べると低いレベルです。この点を解消するためにも、150万台構想では、主要目標として『部品の現地調達率70%の実現』を掲げています。

④アジアの他の自動車産業集積地域との競争
⇒現在、アジアでは自動車集積の動きが活発です。中国のデトロイトとも称される広州では世界中の自動車メーカーが続々と進出しています。またタイやインドでも政府主導で同様の計画が進行中です。このような国境を越えた地域間競争に打ち勝つためにも、より一層の集積と、ハイテク技術による競争優位性を図ろうとしています。


 このように、九州は自動車産業において確固たる地位を築こうとしています。投資先として九州を選択するのはいかがでしょうか?

【関連銘柄】
・九州インデックスファンド(投信)  コード:0131205C
・九州特化型日本株式ファンド(投信) コード:61311028




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