ご無沙汰してます。副代表の高橋です。
今日は携帯電話業界の話をしたいと思います。
ボーダフォン買収以来、ソフトバンクがいけいけどんどん、auぱっとせず、ドコモ一人負けってのがメディア・世間の見方です。でもこれって違うよねってのが今日のハナシです。
あ、かなり長いんで興味ない人はさっさと戻ってくださいね。
まず最初に言っておきたいのはドコモは決して契約者数を減らしているわけではないこと。1,2回だけわずかに純減しましたが流れとしてはむしろ増えています。ここを勘違いしている人が多い。減ってないです。
さて、携帯電話業界の重要な経営指標としてARPU(Average revenue par User)という指標があります。名前の通り契約者一人あたり毎月いくら支払っているのかをあらわす指標です。
これがまずソフトバンクは圧倒的に低い。
ドコモ6360円
Au6260円
ソフトバンク4310円
(以下数値は全て各社の08年3月期決算資料による。ドコモはFomaとmovaの総合ARPU、auはTu-ka含まず、ソフトバンクは割賦請求分含まず。)
理由はカンタン。ホワイトプランがあるからです。っていいたいところですが違うようです。各社のARPU構成を覗いてみましょう。
ドコモ 6360円(うち音声4160円、データ通信2200円)
Au 6260円(うち音声4130円、データ2130円)
ソフトバンク 4310円(うち音声2710円、データ1600円)
音声だけで無くデータARPUも低いということはどうやらソフトバンクユーザーはあまり使わない人が多いみたいですね。
更にデータ通信収入の増大が見込める(=パケット定額とそれに見合うコンテンツがあるため)3G契約の比率が低い。
ドコモの場合データARPUは
Foma・・・2650円
Mova・・・750円
です。格差は歴然ですね。
ちなみにauは
トータルで2130円
3.5世代のWinで3140円になっています。
で各社の3G比率は以下の通り。
ドコモ82.3%
Au約98%(Winは全体の65%)
ソフトバンク75.6%
さてよくニュースで流れるシェアは契約者数の話です。金額のシェアはどうなんでしょうか。それはARPUに契約者数をかければすぐにわかります。
ドコモ シェア52%*6360円=330720
KDDI シェア29%*6260円=181540
ソフトバンク シェア19%*4310円=81890
100分比に直すと
ドコモ 55.66%
Au 30.55%
ソフトバンク 13.78%
ソフトバンクのシェアはドコモの1/4、auの半分以下になってしまいました。ソフトバンクの顧客獲得が収入の増大に結びついていないことが明らかです。
それでも顧客が増えているうちはいいです。少しずつでも収入が増えていきますから。でも本当にこれからもソフトバンクは顧客を増やし続けられるのでしょうか?
現在、日本の携帯電話契約者数は1億人を超えています。つまり革新的な変革を起こさない限り以前のような高成長はもう望めないということです。そしてさらにソフトバンクにとって都合の悪いことは各社の解約率が低下していることです。
まずドコモ。通期の解約率は0.8%と前期比+0.02%でした。しかし07年度の推移を見てみると「ひとりでも割50」をはじめた8月から顕著に下がり、更に905iシリーズ発売・バリュープラン新設により更に低下。直近では0.68%となっています。更に5月よりロゴを一新しCMも「Anser」シリーズを開始。戦略の軸足を新規顧客獲得から既存の顧客重視に転換しました。ドコモからの大幅な流出は見込めなさそうです。
一方auも0.95%とドコモと比べると高いものの、それでも前期比-0.07%と改善しています。
また両者ともに二年縛りのプランを広めようとしているので解約率の上昇は厳しそうです。
そして残念ながらソフトバンクは唯一、解約率を公表していないのでなんともいえませんが、仮にドコモ5000万人のうちの0.7%、au3000万人のうちの1%を全て獲得したとしても65万人あまり。65万/1億ではシェアに占める割合は1%以下。すずめの涙です。
更に視点を別のところへ移してみましょう。それは各社の格付けです。
なぜ格付けが大事なのか?その理由はソフトバンクがはじめた割賦販売方式にあります。
ドコモなどの事業者にとって従来のインセンティブモデルと割賦販売の違いはお金がいつ入ってくるかにあります。
インセンティブモデルであればインセンティブ分は販促費に計上しておき、毎月の通話料からそれを回収して行きました。
しかし割賦販売方式ではユーザーが購入した時点で、事業者が携帯電話本体の代金を立て替えてメーカー(NECなど)に支払います。
で、ここで何がおきるか。まず現金が一時的に流出しキッャシュフローが悪化します。黒字なのにキッャシュフローがマイナス。下手すりゃ黒字倒産です。さてどうするか。
ドコモは未だにシェア約50%を占めるガリバー。しかもバックにNTTが控えています。当然高格付け。各機関からAAないしAAA相当の格付けを得ています。要するにほぼ国債と同じような金利で調達できますよってことです。
一方のソフトバンク。こちらの格付けはBBないしBBB。BBBっていったら投資適格級ギリギリです。これはけっこうプレミアムを要求されてしまう水準です。
結果として信用力の高いドコモは社債で資金を調達する(と伝えられる)一方、ソフトバンクは割賦債権を証券化することとなりました。BBBで社債を発行するよりかは良い条件なんでしょうけど、ドコモと比すると不利な条件であることは想像に難くありません。
参考までに直近のトリプルBでの起債は6/10に澁澤倉庫が5年もの利率2.2%で行っています。一方6月の5年利付き国債は0.9%です。ここから推測するにおそらくソフトバンクはドコモのおよそ2倍のクーポンという条件で現金を調達していると推測されます。
(KDDIは割賦販売を始めたばかりなので財務戦略は不明です。ソフトバンクの証券化の裏には買収時の負債を返す狙いも当然あったでしょうがこれからもソフトバンクはドコモKDDIより不利な条件で割賦債権を扱うことに変わりは無いでしょう。また最後の2倍のクーポンとい節は完全に推測です。)
さて最後にiPhone。こちら199ドル(2万円)という価格ばかり先行してますが、一部の記事によると本当の価格はおよそ10万円です。そのからくりは事業者側がインセンティブとして8万円ほど支払い、残りをユーザーが購入時に支払うというものです。サムスンが発売するiPhoneそっくりケータイが8万円することから考えてもiPhone10万円説は正しいと思われます。
iPhoneについても書きたいことはまだまだたくさんありますが、あまりに長文となったのでなぜiPhoneがソフトバンクで発売となったのかとiPhoneがiPodほど売れないであろう理由を一つだけ。
iPhoneをソフトバンクが獲得したかった理由は話題性ももちろんあると思いますが音楽大好き人間。つまりヘビーユーザーを呼び込めるからでしょう。つまりARPU向上がソフトバンクの狙いです。
売れない理由はカンタンです。外国と違って日本にはよりやすい値段でより多機能で使い慣れた端末が色もデザインもたくさんあるからです。
長々と失礼いたしました。それではまたいつか。